縁もたけなわ

4
8

「健太も年取ったなぁ」
「父さん変わらないね」
「ま、老いねぇからな……死んでっから」

ある日突然ぽっくり逝って、天国に来て驚いた。父が僕を待っていたのだ。

「すっかり白髪混じりねぇ」
「母さん!」

端から見ればみんな老人だが、れっきとした親子の再会。久しぶりに酒を酌み交わしながら、思い出話に花が咲く。

「……そろそろ」

やってきた係員が母に耳打ちした。

「……健太、母さんね、転生するの。本当は前から決まってたんだけど、あなたを待ってたの」
「え?」
「母さん、あなたを産んで幸せだったわ……死ぬ時に言えなかったから、言いたくて」
「……僕も、母さんの息子でよかったよ」
「地上で会っても前世の記憶はないだろうけど……またね」


「あたしママね、こうちゃんは赤ちゃん」

となりのおねえちゃんとおままごとしてるんだけど、なんだかこんなことあったような……ずっと、ずっと、まえに……。
その他
公開:20/10/28 19:15
更新:20/10/28 19:49

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

株式会社ベルモニー Presents ショートショートコンテスト 入選 「とんでかえる」

隕石家族×ショートショートガーデンコラボ 小惑星賞 「詠み人家族」

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容