299. 縁(ゆかり)メダル

生後一年ほどで病気で亡くなってしまった長男。丈夫に産んでやれなかったことを悔やみ、通夜では何も喉を通らなかった。
だが縁あって私たち夫婦の元に生まれてきてくれたのだから感謝の気持ちと共に送り出したくて、長男と遊ぼうと買っておいた折り紙で『メダル』を二つ作り、一つは息子の棺に納めもう一つは私たちの机に仕舞った。
それから二年程重苦しい時間が流れたが、三年目の春男の子を授かり、その子が三歳を過ぎた頃一緒に遊んでいた時のこと。
「ねぇ、ママとパパにメダル作ってあげる！」「え？メダル？うれしいな」最近保育園で戦隊ゴッコをしているからだろうか？「ママ楽しみにしてるね」
その日の夕食後、息子はメダルを手に私たちに言った。「ねぇ、ボク前は早くに死んじゃったけどメダルのおかげでまたパパとママを見つけられたんだよ。今度はずっと一緒にいようね」
酷似しているメダルを受けとると、私は息子を強く強く抱き締めた。