もう、いいよ

4
3

もういいよ
もういいよ

寂しげな声が聞こえる。

もういいよ
もういいよ

声のする方へ歩いて行く。
街から山へ、山から森へ。
声はまだ聞こえている。

もういいよ
もういいよ

辿り着いたのは、既に廃れた古い神社。ボロボロになった狛犬の像と色の剥げた鳥居が、廃れてからどれだけの年月が経っているのかを静かに物語る。

もういいよ
もういいよ

声が大きくなった。
再び声のする方へ歩き出す。
向かったのは、境内の先にある社。

もういいよ
もういいよ

社の引き戸に手を掛けた。すると、何かが引っかかっているのか、ガタガタと言うばかりで開く様子が無い。それでも、暫く力を込めて動かしていると、ガタン!と、引き戸が外れた。
一息ついて中へ入る。
「みぃつけた」
そう言うと、さっきまで聞こえていた「もういいよ」は聞こえなくなった。代わりに、「ありがとう」と聞こえて。
僕は、小さな骸を優しく撫でた。
ホラー
公開:20/10/28 11:02

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容