苦手な人
2
2
誰かを疎むのは覚悟が必要だ。
僕は同じクラスの石田さんが苦手だった。更に言ってしまえば、クラスの全員が彼女を苦手としている。誰も彼女の目を見て話さないからだ。
しかしそうやって露骨に避けるのは僕はどうにも嫌だった。
いっそのこと、ストレートに「君が苦手だ」と言ってしまおう。
彼女と同じ日直だった日に思い立った僕は、日誌を職員室に届けた帰りに石田さんに言った。
もう一度言うが、誰かを疎むのは覚悟が必要だ。だからちゃんと彼女の目を見て僕は言った。
「僕、君のことが苦手なんだ」
「え?」
石田さんは驚いた様子だった。嘘だ。あんなに露骨に避けられていて気づかない筈ないだろうに。今だって石田さんは僕から目を逸らしている。
「こっちを見てよ。僕は真剣なんだ」
肩をぐい、と引っ張ると石田さんはやっとこっちを見た。
「知らなかったのね、あなた」
僕はじっと彼女を見つめたまま動かなかった。
僕は同じクラスの石田さんが苦手だった。更に言ってしまえば、クラスの全員が彼女を苦手としている。誰も彼女の目を見て話さないからだ。
しかしそうやって露骨に避けるのは僕はどうにも嫌だった。
いっそのこと、ストレートに「君が苦手だ」と言ってしまおう。
彼女と同じ日直だった日に思い立った僕は、日誌を職員室に届けた帰りに石田さんに言った。
もう一度言うが、誰かを疎むのは覚悟が必要だ。だからちゃんと彼女の目を見て僕は言った。
「僕、君のことが苦手なんだ」
「え?」
石田さんは驚いた様子だった。嘘だ。あんなに露骨に避けられていて気づかない筈ないだろうに。今だって石田さんは僕から目を逸らしている。
「こっちを見てよ。僕は真剣なんだ」
肩をぐい、と引っ張ると石田さんはやっとこっちを見た。
「知らなかったのね、あなた」
僕はじっと彼女を見つめたまま動かなかった。
その他
公開:20/10/25 23:31
ログインするとコメントを投稿できます