ガム草

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 花壇に植えられた草の葉っぱをちぎり、口の中へ放り込む。噛むと口の中にミントの味が広った。思わずSさんの口が緩む。
「いいわぁ。本物のガムより美味しい」
 板ガム草はその名の通り、葉っぱを噛むと、ガムのように伸びる。独特な口当たりから昨今の人気商品。
 飼育する条件は厳しい。しかし、Sさんは研究を重ね、育成に成功。巨額の富を築いていた。
「ふぅー」
 Sさんはガム草の葉を風船のように膨らませてたり、パチンと音を出して遊んだりしていた。
 突然、怪しげな男が窓から侵入してきた。手にはスタンガン。
「……嘘!?」
「ベランダの花壇の裏にある金庫から、金をよこせ」
 Sさんは、泥棒に小突かれてしぶしぶ花壇の方へ。
「花瓶を無駄だぞ。俺は最新の防護服を身に――」
 忠告を無視して、大量のガム草が生えた花瓶を放り投げた。
 強盗の体中にガム草がひっつき、あっという間に身動きが取れなくなってしまった。
SF
公開:20/10/25 19:49

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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