大根役者を料理する

貴様は生前役者をやっていたとな？それも煮ても焼いても食えぬ大根役者とは…面白い。私が料理してやろう。
太い根っこの部分は役者しか生きる道がないという表れか。その根性は好きだ。
そこには邪な部分はなく、土にまみれた泥臭さがあるものの美しい白が見える。土から芽を出せば青臭い絵空事を並べる青二菜。
貴様のような奴を魂菜類と呼ぶ。非の通りにくい貴様を周りは持て余したはずだ。
根っこと理草を切り離しても、根の緑の部分から新しい大魂が生えてくる。
青々しい部分に噛みついた連中はさぞや苦々しい思いをしただろう。
否定してばかりの連中は貴様の持ち味を知らないと見た。
貴様は揚げてこその素材だ。さあ、煮えたぎる油のような熱意と共にもう一度役者として生まれ変わるがいい！
己が一座を作り上げろ！貴様の癖のある演技を篤と食らわせてやれ！
貴様は私自ら歌舞伎揚げにしてやったんだ。大見得切って、胸を張り舞台に立て！