運が良い話

僕は重い病気を患っている妻を助ける為、藁にも縋る思いで悪魔を召喚した。
「悪魔よ！妻の病気を治してくれ！」
僕の願いを悪魔は『無理だ』と言い放った。
『あのね、悪魔だからって何でも出来るわけじゃないんだよ。私に出来る事と言えば黄金を生み出す事。黄金をあげるから、それを手術代にしたら？』
悪魔の言い分に納得した私は、悪魔の生み出した黄金を必死に拾い集めた。
『その黄金、誰がタダでくれてやると言った？それは賞品だ。私と勝負して勝てばくれてやろう』
悪魔との勝負…黄金を握りしめた僕は何が何でも勝ってみせると誓う。
『勝負はじゃんけん一発勝負。じゃん、けん、ぼん！』
黄金を握りしめている僕は当然グー。悪魔はチョキを出していた。
『私の負けだ。その黄金で奥さんを治してやるといい。あと悪魔は基本悪い奴だからもう召喚しないようにな』
私は運良く善良な悪魔を召喚したようだ。あの悪魔には今でも感謝している。