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スーパーヒーローに憧れていた。弱気を助け、強気を挫く、正義の味方。そんな人になりたかった。
「僕、大きくなったら正義の味方になるよ!」
とは、小さい頃の自分の口癖である。

けれど、現実はそんなに甘くなくて。成長して高校生になった僕は、目立たないように日々を過ごすことで精一杯だった。
目の前で、泣いているクラスメイトを見て見ぬふりして。何も知らないふりをして。
(僕じゃなくていいだろう。別の人が助けてくれるさ。僕なんかが動いたところで、何も変わらないさ)
それが、今の僕の口癖だった。

『痛い、辛い、怖い。でも、俺がやらなきゃ何も変わらないんだ』

ふと聞こえた言葉に足が止まる。電気屋の大きな画面に映っていたのは、小さい頃憧れていたヒーローの姿。

『だから、まずは俺が変わるんだよ!』

気が付けば、足が来た道を引き返し始めていた。遅いかもしれないけど。
僕も、またヒーローを目指せるかな。
その他
公開:20/10/26 08:41

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