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夢種は小さなゴマ粒大の種。それをおへそに差し込んで眠ると逢いたい人に夢で逢える。隆はこうして毎晩のようにクラスのアイドル美咲ちゃんに逢っていたが、一月が過ぎた頃だろうか、目覚めたらおへそから芽が出て足は根っこになっていた。幸いにも根っこの長さは十分で動かすこともできたので、ズボンを履いて中学校へと向かった。
あれ? 通学路に美咲が蹲っている。急な腹痛らしい。少し横になった方がいいよ。美咲を抱えて河川敷に降りて横にする。一面の秋桜。と、美咲の細く白い足が根っこになってずぶずぶと土の中へ入っていった。え、美咲も?
- あ、ありがとう。隆くんてよく日焼けしてチョコみたいだね。
- あぁ。
- ねぇ、知ってる、チョコレートコスモス?茶色くてチョコの香りがするんだってさ。
そよ風に美咲の顔がピンクの秋桜になった。
そよそよそよ。チョコの香りが漂った。
そよそよそよ。二人でいつまでも揺れていた。
あれ? 通学路に美咲が蹲っている。急な腹痛らしい。少し横になった方がいいよ。美咲を抱えて河川敷に降りて横にする。一面の秋桜。と、美咲の細く白い足が根っこになってずぶずぶと土の中へ入っていった。え、美咲も?
- あ、ありがとう。隆くんてよく日焼けしてチョコみたいだね。
- あぁ。
- ねぇ、知ってる、チョコレートコスモス?茶色くてチョコの香りがするんだってさ。
そよ風に美咲の顔がピンクの秋桜になった。
そよそよそよ。チョコの香りが漂った。
そよそよそよ。二人でいつまでも揺れていた。
ファンタジー
公開:20/10/26 03:36
初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
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