運の良い話

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父が病に倒れた。その一報を受け私は名医という称号を捨て、父の跡を継ぐ為にマタギとなった。
医者という仕事に未練はないか?と聞かれる事はよくある。
ない。とは言い切れない。多くの人を助ける。それは私の夢であった。
しかし、なまじ腕がいい為に私は院長に利用され、金儲けの道具と化していた。
夢とはかけ離れた己の姿に苦悩していた私は父の知らせを聞き、医者を辞めた。
だから未練はある。だが、後悔はしていない。
それにマタギという仕事も言ってしまえば人助けの仕事だ。これはこれで悪くない。

ある日、私はおかしなものを見つけた。
森の中の一軒家。その家の中で腹を膨らませた狼がベッドの上で寝ていたのだ。幽かだが人の声が聞こえる…まさか!?
私は狼の腹に耳を澄ませ、腹の中から少女と老婆を救出した。
その話は本にもなっているから有名だろう。
赤ずきん。そこに登場した猟師とは私の事だ。
彼女達は本当に運が良い。
公開:20/10/24 18:40

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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