湖の移動(つづき)

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東日本の有力な湖たちを取りこんだ霞ヶ浦率いる東軍は、いざ決戦の地、岐阜の関ヶ原に向かって移動した。
琵琶湖率いる西軍も、滋賀から移動して関ヶ原に陣を構え、天下分け目の戦いに備えた。ただ西日本の湖たちは、ことの成りゆきを見極めるため、静観の構えだ。
東軍と西軍の勢力は、現時点で拮抗し、互角の様相を呈している。
いよいよ天王山の戦いが始まろうとした矢先、東軍で内部分裂が起こった。
霞ヶ浦が日本で一番の大きさになることに以前から不満を抱いていたサロマ湖や猪苗代湖、十和田湖、浜名湖が裏切ったのだ。
すると、もともと東軍は同床異夢だったこともあり、堰を切ったように続々と霞ヶ浦に取りこまれていた湖たちが元の場所へと移動を始めた。
あっという間に霞ヶ浦は元の大きさに戻り、この時点ですでに勝敗は決していた。
霞ヶ浦は逃げるようにして茨城へ退散した。一方、琵琶湖は日本一の座を死守し、悠然と滋賀へ凱旋した。
その他
公開:20/10/24 18:19
『とってもふしぎな創作ドリル』 「ストーリー03 湖の移動」 東日本 霞ヶ浦 東軍 関ヶ原 琵琶湖 西軍 西日本

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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