ショートショートガーデンヒロイン選抜オーディション

"彼女"は監督に掴みかかった。
「どうして私が不合格で、あの矮小で不細工で気品の欠片も無い女が合格なのよ！」
罵声がオーディション会場に響き渡る。会場中の視線が"彼女"と監督に集まる。静寂が、場を支配した。
監督は、おもむろに掴まれた腕を解いた。"彼女"の言うことは概ね事実だ。しかし、それでも"彼女"をショートショートガーデンで使えない理由があった。
「君は、確かに容姿端麗だし、演技力も申し分ない。しかし、君をショートショートガーデンで使えない理由は、君自身が一番理解してるはずだ」
「わかりません！ちゃんと説明してください！」
"彼女"は眼を潤ませていた。監督は深いため息を吐いた。
「文字数だよ」
"彼女"——四月一日志桜里（わたぬきしおり）はうなだれた。
その後ろで、合格した柳楓が、静かにほくそ笑んでいた。