乙女心は秋の空

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サッカー部のキャプテン。
美術部の先輩。
学年主任の30代の先生。

秋の空のように移ろいやすい私の心は、日毎に違う人を想っている。

「いくら何でも目移りし過ぎでしょ」
「期待してないから良いんだよ」
友達に呆れられると、いつもそう返した。
たくさんの男の人と関係を持ちたい訳じゃない。私が少女漫画のヒロインになりたいんじゃない。
ただ、密かに想っていたいだけ。
「私は、少女漫画のヒーローに密かに恋してるモブでいいの」
それが、口癖だった。



「貴女の事が、好きです」
ある日、別のクラスの男の子に告白された。でも、断った。私は、一人だけを想える人間じゃないからと。
すると、その子はこう言った。
「なら、毎日俺の事を想ってくれるように工夫するよ!」

それから毎日、彼は変な髪型やおかしな眼鏡を掛けてくるようになって。毎日先生に叱られて。気が付けば、彼のことを考えない日は無くなっていた。
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公開:20/10/24 12:04

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