変な親父

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変な親父がいて彼は家族に自分を殿と呼べ、妻は奥方、娘は姫だと言い出した。
会社に出かける時も、殿のお出かけだ、奥方は駅まで籠の用意をと促し、妻は車を玄関脇に着けて待つ。見送りに娘が来なければ、姫は如何しおるかと叱責する。何とやりにくい親父ではないか。
きっかけは時代劇の見過ぎで、いつの間にか自分が殿様だと錯覚しだした様だ。また時には顔を白塗りし、俺はバカ殿だと言ったり訳が分からない。
それでも会社では真面目に振る舞い仕事をしている様で、妻は取り敢えずは安心していた。最近お客様にこれ買えよとか、欲しかったら取りに来いとか横柄な態度が目に余まり、上司から君はどうしてその様な殿様商売をするのだ、当分出社に及ばず自宅謹慎だと命じられた。

本人は痛く反省し家では部屋に閉じこもっていたが、ある時ゲロゲーロと変な鳴き声が聞こえ、不審に思い妻がドアーを開け見ると、殿様蛙が一匹、座布団の上に鎮座していた。
ファンタジー
公開:20/10/25 11:02
更新:20/10/25 15:13

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