感情プリズム

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「感情プリズムを起動します」
佐々木がスイッチを押すと、巨大な三角柱が、地面から迫り上がってきた。
涼太と瑞樹は呆然とそれを眺めていた。
「これは、声から感情を分析する装置です」
佐々木は感情プリズムを向く。
「仕事辞めたい!」
佐々木が叫ぶ。涼太と瑞樹は努めて無表情でいた。三角柱から2本の光線が出現した。
「これは、激しい怒りと、少しの未練を示しています」
佐々木は瑞樹にマイクを向ける。
「貴女は彼のことをどう思ってますか?」
「え、あ、はい、好きです」
プリズムから13本の光が飛び出す。
「これは、強い好意と、収入面・子育ての不安、別の男性へ揺れる感情を示してます」
瑞樹はうつむいた。佐々木は涼太にマイクを向ける。
「彼女のことをどう思ってますか?」
「もちろん愛してます!」
一筋の桃色の光が出た。
「これはどういう意味ですか?」
瑞樹が尋ねる。
「生殖行為がしたい、です」
SF
公開:20/10/25 09:53

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