拝啓 ご先祖様

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私の遠い先祖は、家老の家柄だったそうだ。
言伝えでは、徳川家康のだいぶ下の息子が養子として入った家に産まれた娘が嫁いだ先の家で、代々家老職を務めていたらしい。

現代の私は一介のサラリーマンだ。だが脈々と受け継がれてきた資質と誇りは隠しようもない。社長の信頼も厚く、部下からの評判も上々…失敬、自ら言うことではないな。ただ、忠厚く情に深い名家老の血は健在だと言いたかったのだ。

「萩原君、A社のクレームは片付いたのか!」
「萩原部長、B社の納期遅れそうなんですけど…」
「部長ぉ、隣の席のCさんがぁ…」

やはり家老、いや部長職ともなると仕事も多岐に亘るが、失敗は許されない。ご先祖様の名を汚すわけにはいかな…

「あっ部長!?」
「萩原君!どうした!」

目覚めたら病院のベッドの上だった。すぐに看護師が担当医を呼びに行く。
ベッドの脇に立った医師は、神妙な面持ちで恭しく言った。
「過労ですな」
その他
公開:20/10/24 22:45
更新:20/11/14 19:13
縁コンテスト …にするつもりだったけど 少々脱線したので通常投稿(笑) 最近こういう落とし噺が多いな #93

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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