唇薔薇
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唇薔薇。花弁が唇のようにぷっくりと肉厚で思わず口づけをしたくなるような薔薇。
その花弁はとても繊細で、口づけをしたが最後、はらりと落ちてしまう。
それでも口づけをする者が後を絶えないのは、口づけをした際に唇から伝わるほんのりとした甘さ。
成熟前の唇薔薇であればそこに酸味も混じり、甘酸っぱいその味はまさに初キスだと囁かれる。
魅惑の真っ赤な唇薔薇。それを作ったのは私である。
しかしその私から唇薔薇を奪い、あたかも自分が作り出したかのように声高に叫ぶあの男…憎い…
そんな憎しみを唇薔薇は察したのだろう。
真っ赤になるはずの唇薔薇の中、青黒い花弁のものが一つ産まれた。
私はそれを男に渡す。
男は下卑た笑いを浮かべ、「味見してやろう」と脂ぎった唇を寄せる。
花弁がはらりと落ちた。男は恍惚とした表情を浮かべ、徐々にその顔を青黒く変化させる。
夫であったその男の死に際を見て、私は唇薔薇と一緒に笑った。
その花弁はとても繊細で、口づけをしたが最後、はらりと落ちてしまう。
それでも口づけをする者が後を絶えないのは、口づけをした際に唇から伝わるほんのりとした甘さ。
成熟前の唇薔薇であればそこに酸味も混じり、甘酸っぱいその味はまさに初キスだと囁かれる。
魅惑の真っ赤な唇薔薇。それを作ったのは私である。
しかしその私から唇薔薇を奪い、あたかも自分が作り出したかのように声高に叫ぶあの男…憎い…
そんな憎しみを唇薔薇は察したのだろう。
真っ赤になるはずの唇薔薇の中、青黒い花弁のものが一つ産まれた。
私はそれを男に渡す。
男は下卑た笑いを浮かべ、「味見してやろう」と脂ぎった唇を寄せる。
花弁がはらりと落ちた。男は恍惚とした表情を浮かべ、徐々にその顔を青黒く変化させる。
夫であったその男の死に際を見て、私は唇薔薇と一緒に笑った。
公開:20/10/23 19:03
元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。
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