栄養ドングリ

休日に仕事の疲れを癒そうと、ドラッグストアの栄養ドリンクコーナーへ行ったときのことだ。
さまざまな種類の栄養ドリンクの小瓶が陳列されている一角に、ドングリがいくつも並んでいた。
錯覚かと思い目を擦ってよく見ると、ドングリが並んでいるあたりに『新発売！　秋限定「栄養ドングリ」』と書かれたポップが貼られていた。
手に取ってみると、見た目はドングリのようだが、少し揺らしてみると、中に液体が入っているような音がする。
早速、買い求めて栄養ドングリのフタの代わりになっている、ドングリの帽子の形をした殻斗をひねってみると、中から森林にいるような土の香りがした。
漢方薬かと思い栄養ドングリを一気に飲み干すと、少し苦味があった直後に『ドングリころころ』のメロディーが脳裏を駆けめぐり、すぐに気力が漲って元気がでてきた。
その帰り、家近くの並木道を歩いていると、大勢のリスたちが追いかけてきたので慌てて逃げた。