ある式神と少女の物語、あるいは少女と犬の物語

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「僕は君の式神だったんだ」
聞き覚えのある懐かしい声がした。
「最後の力だよ、式神にも掟があるんだ」
小さい頃はちゃんと聞こえていたのに、忘れていた。
私は彼の弱っていく身体を支えた。
「もっといっぱい話したいことあるんだよ」
彼にはなんでも話せた。学校の事や友達の事。楽しかった事や悲しかった事。ママも知らない恋の話や悩みまで。愚痴も言わずに聞いてくれた。

「もう行かないと、僕を必要としてくれる人がいるんだ」
幼い頃からずっと側にいてくれた。
「行っちゃやだ、私、まだまだ弱いよ。今だってーー」
「大丈夫、君は強くなったし、独りじゃない。僕の役目は終わりさ」
抱き寄せる。鼓動が遠くなる。涙で滲む。
「僕は君の笑った顔が大好きだよ」
いやだいやだいかないで。
「君と出会えて幸せだったーー」彼は笑っていった。

私の笑顔は涙でくしゃくしゃだった。
ありがとう、私も幸せだったよ。
ファンタジー
公開:20/10/21 20:57

小川さら

口下手で面白い事が言えません。
だから書いてみます。

忌憚のないご意見をお待ちしております。
 

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