婆ちゃんの片思い

高校生になって、その婆ちゃん家でガールズトークをするようになった。
ある日、縁の下に猫が入って覗くと、小さな祠があった。
「婆ちゃん、縁の下に祠があるよ」
「あぁ、縁結びの神様が祀ってあるんだ」
「縁結びの神様？」
「この家が良縁に恵まれるように祀られた神様なんだ。主人が亡くなってから手入れしてなくてね」
私は縁の下に潜り、祠の掃除をしてあげた。

今日のガールズトークは盛り上がった。
片思いの彼に告白されたのだ。
「きっと神様の力だよ」
「縁の下の力持ちだね。婆ちゃんは片思いの人いるの」
「ああ、真一さんていうイケメンにね」
私は、あの祠に行った。
（婆ちゃんと真一さんとの縁が結ばれますように……）

紅葉彩る秋、婆ちゃんは枯れ葉が散るように息を引き取った。
私は仏壇にある婆ちゃんと真一さんの遺影を寄り添わせた。
「やっと、恋人同士だね」
婆ちゃんは夫だった真一さんを思い続けていたのだ。