運の良い話

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風邪を引いてしまった俺は己の不運を呪った。今日の給食は大好物のプリンだった。
プリンが食べられないなんて俺はきっと世界で一番不幸な小学生だ…悔しさと悲しさで涙が出る。
「ちょっと武、大丈夫?」
ノックもせずに部屋に入ってきた幼馴染は泣いている俺の姿を見て凄く驚いていた。
いつもなら「なんでもねぇよ!」と突き放すところだが風邪のせいで心も弱っていた俺はプリンを食べられなかった悲しさを話してしまった。プッと笑われた。
「そんな事で泣くなんてお子ちゃまね」
怒る気力もない俺はその嘲りにさらに悲しくなった。
「はい。武の食べたがっていたプリン。運が良かったわね。私が偶々、残り物じゃんけんに勝って」
女神が俺の枕元にプリンを置いた。
「それじゃまた学校でね」

風邪が良くなり登校すると友達に言われた。
「あいつ、お前にプリン持って行くんだって張り切ってたんだぜ」
その日から俺は幼馴染を意識し始めた。
青春
公開:20/10/22 19:02

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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