あめあめ、ふれふれ

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「げーっ、また雨かよ」
「今週ずっと雨だってー」

教室で、そんな話し声が聞こえた。

「遠足晴れるかなぁ」
「外で遊びたいねー」

そんな声は無視して、さっさとランドセルに教科書をつめこんで、廊下を歩いていく。

みんな、雨はきらいだって言う。ジメジメするし、外で遊べないし、ぬれちゃうし。
でも、ボクは雨の日が好きだった。きっと、みんなに笑われちゃうから、その理由はナイショなんだけど。

「あーめあーめふーれふーれかーあさーんがー」

歌いながら、階段を降りていく。

「じゃーのめーでおーむかえーうーれしーいなー」

げた箱でくつをはきかえて、傘を差して、校門へいく。

「ぴっちぴっち、ちゃっぷちゃっぷ、らんらんらん」

校門前に人影を見つけた。
嬉しくなって走り出す。その人は走ってきたボクを受けとめて、にっこり笑った。

「雨だから一緒に帰ろうね」
「うん!」

だからボクは雨が好き。
その他
公開:20/10/22 13:18

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