運の良い話

0
2

『祖父の秘密を解き明かして欲しい』
そう依頼され、猫仏家を訪れた私は祖父とやらの写真を見てすぐにピンときた。
「彼はシークレットシューズを履いています。靴に彼の秘密があるのではないでしょうか?」
私の推理に大人達はこぞって靴箱に殺到した。
(しまった…これでは猫仏家を出る事が出来ない…)
私は間男よろしく、裏口からこっそり猫仏家を後にした。

駅でバスを待っていると猫仏家の末娘が私に声をかけて来た。
「探偵さんは遺産に興味がないの?」
「私が明かしたのは秘密だ。遺産ではない。それに故人が墓場に持って行った秘密は暴くものじゃないよ」
「同感ね。ところで探偵さん。私、猫仏家がなくなって行く当てがないの。助手として雇って下さらない?」
「猫仏家がなくなった?」
「あら、さっき探偵さんが言ったじゃない。祖父の秘密を暴いたあの人達は墓穴に引きずり込まれたのよ」
そういう事か…私も彼女も運が良かった。
ミステリー・推理
公開:20/10/20 19:14

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容