シンデレラは眠らない

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「お婆さん、お願い。私もキラキラしたいの。舞踏会に行かせて!」
ぐいぐい迫るシンデレラに魔法使いは怯んだ。
「でも王子の目に留まるには、出会いの縁を結ぶ魔法のドレスと靴がいるんだよ」
「じゃあ貸してよ。魔法使いなんでしょ?」
「あ、ああ…ほんと最近の子ときたら…でもあんた、覚悟はあるのかい」
「勿論よ!」
魔法使いを急かし、シンデレラは美しいドレスとガラスの靴を身につけた。
「馬車…やだ、これサツマイモじゃない!」
「ハロウィンでカボチャがなくてね。文句言いなさんな。そのかわり魔法は12時過ぎても有効さ」

縁結びの魔法は強力だ。これぞ運命の相手とばかりに二人は踊り始めた。
やがて12時の鐘が鳴り響いたが、魔法が解けないガラスの靴は一向にステップを止めない。ついに王子は疲れ果てて床に倒れた。
「おい、王子が倒れたぞ!」
シンデレラは踊りながら怒鳴り返した。
「だって縁ドレスなのよ、これ!」
ファンタジー
公開:20/10/21 14:38
更新:20/11/18 19:05
縁コンテスト #6 シンデレラ 赤い靴 パロディ 縁ドレス=エンドレス ベタですみません(笑)#91

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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