ゆか鈴

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「大事なものに付けておくんだよ」
買ってもらったばかりの自転車の鍵をなくしてへこんでいたら、婆ちゃんは小さな鈴をスペアキーに付けてくれた。
「こんな風に気持ちの良い風が吹いた日だったねぇ。爺ちゃんと初めて会った時、鈴が鳴ったんだ」
「どうして?」
「どうしてだろう。不思議だねぇ。誰かと縁が結ばれる時、婆ちゃんには鈴の音が聞こえるんだよ」
「私とも聞こえた?」
「聞こえたよ。楽しくて可愛い音だ」
それから、誰かと出会う度に良く耳をすましてみたけれど、鈴の音は聞こえるような気もするし気のせいのような気もした。
でもあの日は違った。様々な音色の鈴の音が一斉に聞こえた。
あぁ、婆ちゃんと縁のある人たちが最後を見送っているんだ。
ザーッと心地よい風が吹き、天からぶら下がった風鈴たちもチリンチリンと音を鳴らす。
爺ちゃんの鈴の音が聞こえたのだろうか。少女になった婆ちゃんは、手を振り空へと駆けていった。
その他
公開:20/10/21 07:37
更新:20/12/08 10:52

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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