合格えんぴつ

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 部屋の掃除をしていたら、机の引き出しから懐かしいものが出てきた。学業にご利益があると噂の、とある神社で売られている四角形の鉛筆。片方の端には各面に1から4までの数字が油性ペンで書かれている。
 これは数年前、資格の試験を受けるときに妹がくれた鉛筆だ。5つの選択肢から答えを選ぶ問題だと話したら「答えに迷ったらこれを使いなさい!」って当日の朝に渡されたんだっけ。

「試験5択なんだけど」
「細かいことは気にしない!」

 妹の答えに苦笑いしながらも、本番ではありがたく活用させてもらった。
 そうだ、ちょうど良い。

「おーい」

 僕は部屋の壁をノックして隣の部屋の住人を呼んだ。

「お兄ちゃん、何か用?」
「はいコレ」

 鉛筆を見て、あの時の僕と同じように苦笑いをする妹。

「明日の試験は選択式ですらないんだけど」
「細かいことは気にしないんだろ?大丈夫、こいつには実績があるから」
その他
公開:20/10/20 21:54
縁……?

久寓

(玖寓→久寓に変えました)

読むのが好きです。
書くのは好きだけど苦手です。

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