ちくわ水族館

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 水槽の中に何匹ものちくわが泳いでいる。彼氏に連れられてきたN氏は、このシュールさに圧倒された。
「あれがサメのちくわ。魚群を作っているのはアジだね」
 まるで、寝つきが悪い時の悪夢のような光景である。
「あれ? イルカショーは普通にイルカなんだ」
「おいN、イルカは哺乳類だぞ。知らないのか? そうだ、ちくわとのふれあいコーナーもあるんだ。行こうぜ!」
 と、彼氏は笑いながらふれあいコーナーへ。仕方なしにN氏も追った。
 専用の水槽に手を突っ込んだとたん、小さなちくわが自分の手に群がってきた。あまり気持ちのいいものではない。
「そういえばこれ、食べれるの?」
「おいおい、魚を生で食うやつがいるか?」
 二人は水族館をみっちり回った後、土産コーナーに着いた。
 その時、とうとう理解を超えたものを見てしまい、N氏はフリーズした。
 視線の先には一枚の看板。内容は――当館名物《ちくわのちくわ》!
SF
公開:20/10/18 20:40

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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