ハエ

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 窓にハエが張り付いていた。私はそれを見ながら、コーヒーを啜った。犬にもハエを見せてやろうと思い、抱き抱えてやると、犬は、イヤよ、イヤよ、と私の上でもがいた。私はコーヒーがこぼれてしまうと思い、犬を床に降ろした。ケツを見せながら、犬は離れていった。もう一度、窓に目をやると、ハエはいなくなっていた。悲しくはなかった。もしかしたらハエは、私に飽きてしまったのかもしれないと思った。フルーツを食べたいと思い、立ち上がり、冷蔵庫からリンゴを取り出した。軽く洗い、かじってみた。だけど、切ったほうが良さそうだと思ったので、切って食べた。ヘタだけになったリンゴを、私はしばらく眺めた。ぷーん、という音がして、ハエがリンゴに止まった。私は、ひえっ、と声を出して、リンゴを落としてしまった。ハエはリンゴにしがみついていた。
その他
公開:20/10/20 01:50

杉将

基本的に、無、です。

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