クラシック見世物小屋

3
5

ステージの中央に置かれた丸テーブル。
ふちに金のタッセルを並べた、白いクロス。
その上に深紅のドレスを着た妖艶な女性。
こちらを正面に右向きに寝そべっている。
開いた胸元からはたわわな乳房がこぼれ落ちそうだ。
彼女は左脚を大きく上げ、膝を曲げ着地させる。
同時に横向きだった上半身を仰向けに。
白い喉が、こくりと動いた。

右手でドレスの裾を翻す。
脚が露出された。
驚くべきは彼女の右脚は義足だった。
無垢色の膝から下には鍵盤が並ぶ。

赤いビロード張りの椅子が運ばれてきた。
演奏者が彼女の目の前に座った。

指がふくらはぎを撫で、愛撫のように奏でていくのがわかった。
奏でる音は彼女の喉。
鍵盤と連動して、人の声ともピアノとも区別つかないような甘い旋律が聴こえる。
時に義足以外をゆらめかせる。
紅いドレスと白い四肢。
喘ぐような声とハッキリとした音階。

僕は何を見せられているのだろうか。
ファンタジー
公開:20/10/20 01:21

雨森れに( 東京 )

色合いの綺麗な物語を紡ぎたい。
シーンごと切り取られた刹那。
不思議、恋愛、ファンタジー、怪談、純猥談などをチラホラと。
中身はお酒が好きなアグレッシブ。

Twitter: https://twitter.com/rainy02forest
note: https://note.com/tettio02
Radiotalk: https://radiotalk.jp/program/61359

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容