優しい瞳

バスツアーの最中、出店の並ぶ繁華街にツアーガイドと行楽客は降りた。すると子ども達が周りに群がってきた。
優しい瞳をした少女に耳を傾ける。
「お金……」
「ああ、乞食ですねえ。何もあげないで、いいですよ。あげたってこの子らの親が麻薬買うだけですから」
ツアーガイドが億劫そうに説明する。
「お、お客さん」
一人の男が少女を手招いていた。手には100000ナミア持っている。
「よし、来たな。僕はこれで、イラデッスント・ドラゴンの姿造りを買う。今この場で、君たちで分けて食べてくれ。スタミナをつけないとな。この国の未来のために」
そういって、本当にそれを買い与えた。
「あーあ、高級品だぞ。やっぱりこんな貧乏な国に来る金持ちは変わってるな」
バスガイドの独り言を他所に、子ども達は喜んで、それを食べた。
後日聞いた話によると、自分達と同じ時期に、ある国の王子がお忍びであの街に来てたという。