運の良い話

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漫画家の私は商店街の路地裏にひっそりと建つ”運屋”に度々足を運ぶ。
運屋は文字通り運を売っている。幸運・福運・悪運、様々な運が売っているが良いものはやはり高い。
幸運なんて1つ百万円もする。とてもじゃないが買えない…
だから私は今日も一番安い不運を購入する。
店主は私に「今日も期待しているよ」と笑いかけてくれた。

家に帰った私を待ってましたと言わんばかりに愛猫が歓迎してくれる。
足元をうろつかれ非常に邪魔だ。
そんな猫を避けながら部屋に入り…べちゃり、とそれを踏んでしまった。
猫の、吐いた毛玉である。

私は溜息を吐くと足を洗い、床を掃除した。
そして先程体験した不運を漫画にしてネットにアップする。
『俺もやった』『猫あるあるだ』『今日も安定の不運ですね』
私の不運に賛同するコメントが続々と寄せられる。
そう、不運とは笑いのネタになるのだ。
私の描く”不運の良い話”は今日も絶好調である。
公開:20/10/19 18:54

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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