6
6
医者は耳から聴診器を外して私に告げた。
「誤縁性肺炎ですね」
「誤縁性?」
「恋をすると胸がドキドキするでしょ?その反対に、悪縁の場合は呼吸器が炎症を起こすんです」
なるほどと納得したのは、お察しの通りの心当たりがあるからだ。先日仕事終わりに引っ掛けたバーで会った女に一目ぼれしたのだ。残業を言い訳に何度か通っていると、次第に妻と会話すれば咳が出て、手料理を食べれば忽ちむせてしまうようになった。恋は心の病ならず、身体の病と言うことか。全く、ありがたいんだか、お節介なんだか。
診察の翌々晩。
意を決した俺は、彼女の連絡先をあらゆる履歴から削除した。だが1、2週間しても症状に改善が見られなかった。文句を言うため、再び医者を訪れた。
「このヤブ医者っ。私は心当たりの女と縁を切ったのに全然治らな…」
「つい先日原因が判明しましたよ。実はあなたの奥様がこちらに来られましてね」
「誤縁性肺炎ですね」
「誤縁性?」
「恋をすると胸がドキドキするでしょ?その反対に、悪縁の場合は呼吸器が炎症を起こすんです」
なるほどと納得したのは、お察しの通りの心当たりがあるからだ。先日仕事終わりに引っ掛けたバーで会った女に一目ぼれしたのだ。残業を言い訳に何度か通っていると、次第に妻と会話すれば咳が出て、手料理を食べれば忽ちむせてしまうようになった。恋は心の病ならず、身体の病と言うことか。全く、ありがたいんだか、お節介なんだか。
診察の翌々晩。
意を決した俺は、彼女の連絡先をあらゆる履歴から削除した。だが1、2週間しても症状に改善が見られなかった。文句を言うため、再び医者を訪れた。
「このヤブ医者っ。私は心当たりの女と縁を切ったのに全然治らな…」
「つい先日原因が判明しましたよ。実はあなたの奥様がこちらに来られましてね」
SF
公開:20/10/18 18:00
更新:20/12/18 09:45
更新:20/12/18 09:45
縁
ゆかり
誤嚥
誤縁
まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから
お立ち寄りいただきありがとうございます
ふらりと交流できれば幸いです
▼NOVEL DAYS
https://novel.daysneo.com/author/j_mano37/
▼入選作品
・J-WAVE SPARK×NOVELDAYS ほっこりショートコンテスト第1弾「モノのつぶやき」
「子に捧ぐ祈り」
ログインするとコメントを投稿できます