着せ替え人形

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女の子だから。

昔からの母の口癖は、私を愛らしく、可愛らしく飾り付けた。

髪は長く。服はスカート。ふわふわリボンにひらひらレースをたっぷり。

「女の子なんだから、これぐらいがちょうど良いのよ」

そう言って母が嬉しそうに笑うから、私も、それが嬉しかった。

けれど、鏡に映る私は、いつも笑っているのに無表情。
それは、まるで、ただのお人形のよう。

伸ばした髪も、スカートも。リボンやレースがたっぷりのお洋服も。
子供の為の服というより、お人形の為に用意した服みたいで。

「私は貴女の為に言ってるのよ」
「女の子なんだから、こうした方がいいに決まってるじゃない」
「貴女は私の言う通りにしていればいいのよ」

私の言葉は、どうやら母には届かないみたいで。

「だって、貴女は女の子なんだから」

そう言って母は、今日も私を飾り付ける。
今日も私は、母の着せ替え人形を演じている。
その他
公開:20/10/18 13:15

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