望縁鏡

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路地裏を散策していたとき、雑貨屋ゆかり堂というユニークな店名と、駄菓子屋のような店構えに惹かれ店内に入ってみた。
三毛猫を抱いた人の良さそうなおばあさんがちょこんと座っており、朗らかな笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい。ここには縁の品々がいろいろ置かれているので、ゆっくり見ていってね」
店内には、古そうな品々が所狭しと置かれていた。
「『縁の品々』ってどういうことですか?」
「あそこに望遠鏡のようなものが置いてあるでしょ。覗いてごらんなさい」
おばあさんの指示に従い覗いてみると、驚いたことに自分の生まれた家や部屋、赤ちゃんの頃の自分、当時の両親、祖父母の姿など、懐かしい情景が次々に映った。
「あなたに縁のあるものが映る『望縁鏡』と呼ばれる代物よ」
夢中になって望縁鏡を覗き続けていると、最後に見慣れない女性と赤ちゃんが映って終了した。
これが将来の結婚相手と我が子だと気づくのは後のことだ。
青春
公開:20/10/18 07:02
更新:20/10/18 09:57
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山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都、大学院時代は湘南で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
まだまだ駆け出し中。読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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