ストレスの種

ストレスの種が生まれた。
初めは別に気にするほどでもなかった。
しかし、種は芽を出し、葉をつけ、気づいた頃には蕾がつくほどに大きくなっていた。
ためしに茎を切ってみたものの、種は成長を続け、すぐもとの姿に戻ってしまった。
除草剤でも使ってみるか。
少し値段はするが、これで確実だ。
ストレスの種は跡形もなく消えた。

少したって、またストレスの種が生まれた。
また、除草剤を使おう。
だが使ってみると、あまり効果がない。
土壌に除草剤の成分が溜まり、ストレスの種に耐性がついてしまったようだ。
もっと、量が必要だ。
除草剤を買いにいった。
「除草剤は値上げしました」
「お願いします、どうしても必要なんです」
「値上げしました」
「ください、お願いします！」
「値上げしました」
結局その日は除草剤を買えず、ストレスの種は繁殖を続けた。

蕾はやがて花を咲かせ、新たなストレスの種が生まれた。