土星パフェでデート

木曜の午後、ショウは恋人兼助手のレミとカフェミルキーウェイにいた。
頼んだのはカップル用の土星パフェ。

土星にそっくりでふわふわの果実が逆円錐のパフェグラス上空に浮かぶ。84個の衛星が回っており、最大のタイタンはグラスの中に浮かんでいる。

レミがリングをつつく。ゆらゆらとリングが揺れる。食べるとパリパリする。これが果実の皮だ。
回ってくる小さな衛星をスプーンで遮ると星屑のように溜まっていく。弾ける美味しさだ。
リングは割って半分こ。柑橘の爽やかな香りを食べる。
タイタンは枇杷のような、土星本体は桃のような味と香り。
カラフルなゼリーと一緒に食べる。全て白鳥座デネブ星系産だ。

『美味しいわ』最上の笑顔でレミは言う。
「レミの笑顔が最高だよ」
何事もないのが最高なのだ。

ショウはチラッと情報デバイスを見た。
『お仕事入ったのね。行きましょうか』
二人の短いデートは終り、仕事が始まった。