ゆかり鉄道

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誰にでも所縁の地ってあるだろ。そこに連れて行ってくれるのが「ゆかり鉄道」さ。
よく人生の道程は旅に例えられるけれど、ゆかり鉄道の列車で行く所縁の地も自分の生きた軌跡を辿る旅かもしれないね。
列車は、縁路にレールを敷いて走るのさ。一両だけの列車に乗り込むと、誰ひとりおらず始発のようでね。
進む縁路は人それぞれさ。何度か分岐することで、はるか向こうの地平線まで見える一直線の縁路となっているんだ。
走りだした列車の窓からは、過去の懐かしい情景が縁線に現れる。
車内では、亡くなったはずの親族や友人など、縁のある人たちが席に座っていた。声を掛けても無言だが、みんな穏やかに微笑んでいる。
そして見覚えのある所縁の地に到着する。物思いに耽りながら佇んでいたら、心地よい温かな光に包まれて意識が戻った、というのが生還した俺の体験談さ。
ゆかり鉄道の列車は死の間際に現れるので、走馬灯列車とも呼ばれているんだ。
青春
公開:20/10/16 20:02
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山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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