サンタクロースは液体である

「サンタクロースっていうのはさ、『液体』じゃないかと思ったんだよ」
　唐突にそうシンヤは言いだした。シンヤは週に一度くらいはこの手のとっぴな疑問がわきあがる体質らしく、大抵付き合わされるのは俺なのだ。
「だってサンタってさ、太ってるでしょ。そんな体形でえんとつ通るなんて無理じゃん？ということは液体なんじゃないかって」
「流石に飛躍しすぎじゃ……？」
「でさ俺、気になっちゃって聞いてみたんだよ。サンタクロース協会に。そうしたらね、正解出ちゃった。正解はね――サンタは、『ゴムみたいなもの』なんだってさ」
「ちょっと待って。サンタクロース協会も気になるけど、とにかくサンタは……ゴム？いや意味がわかんないんだけど」
「どうもね、サンタがどうっていうよりも、中身が大事らしくって。サンタはゴムで出来ていて、その中には『子供たちの期待（気体）』がつまっているんだって。だから形は自由自在なんだってさ……」