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祖母は年甲斐もなく頭に大きなリボンを着けている。
私も小さい頃は「お婆ちゃん可愛い!」なんて褒めていたが高校生になる頃にはそんな祖母が恥ずかしくなった。
祖母はいくら言ってもリボンを外してくれない。腹が立って、もう数年口をきいていない。顔を合わせるのも嫌だ。だから私は朝も夜もバイトして金を稼いだ。
大学に進学したら家を出ると決め、がむしゃらにハードスケジュールをこなした。
それが祟った…私は仕事中に倒れ、病院に運ばれた。
お婆ちゃんが見舞いに来た。頭のリボンを私の体に優しく巻いていく。
「これはね、再生を意味するリボーンなの。大丈夫。すぐに良くなるわ」
その言葉通り、私の体は早くに回復し、医者も驚いていた。
私は祖母に感謝と謝罪を告げる為、久しぶりに祖母の部屋に入る。
「あなた、だあれ?」
私の事を忘れた祖母の頭にそっとリボンを巻く。
リボーン。今度は私がお婆ちゃんの記憶を再生してみせる。
公開:20/10/15 19:34

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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