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―初めまして。今日はよろしくね。
―あの…こ、こちらこそよろしくお願いします。
―ふふ、お相手がこんなおばあちゃんで驚いた?今年米寿なの、私。
―えっと米寿って…えっ、ホントに!?うそ、全然見えない…てかすごく綺麗。やだ、私釣り合わないかも…
―あらまあ、何を仰るの。久しぶりのお呼ばれに、あなたのような若い方とご一緒できてとても嬉しいわ。ああ、出番のようね…

「素敵!これ総刺繍じゃない」
「あ…ひいお祖母ちゃんの帯なんです」
「まあ。じゃあこの帯、織られてからもう100年近いのね。お着物は真新しいけど今時珍しい古典柄だから、帯とよく合うわ。これは着付け甲斐があるわね」

―ねえ愛子さん。もうそんなになるのね。あなた、あなたの娘さん、三人のお孫さんたち、そして今度はひ孫さんよ。みんなの背中を飾れて幸せだわ、私。

鏡に写る笑顔に最初の持ち主の面影を偲びつつ、帯は永い時の流れに想いを馳せた。
その他
公開:20/10/15 18:59
更新:20/12/09 16:39
縁コンテスト #4 愛子さん 私の祖母 拙作『いま、ここにいる奇跡』に 出てくる祖母の嫁入りの時の帯 私の姪の成人式でも使いました #88

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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【Twitter】
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