縁火(ゆかりび)はまだ燃えているか

伝説では、山の頂上に天女ユーカリアを祀った神殿があり、奥に縁やゆかりを司る縁火(ゆかりび)があるらしい。祝福を与え、真実の縁をもたらすとある。

「縁火を手に入れて欲しい。妹の薬代が欲しいそうじゃないか。」

街の顔役ドン・エニシー二が葉巻の煙を吐く。富も名声も手にいれた男が、そんな与太話を信じてるのは少し笑えた。

神殿の奥に神々しく、縁火は燃えていた。ランプに火を移すし、神殿を後にする。

下山は想像を絶するほど困難を極めた。風は吹き荒び、足場は悪く、篠突く雨が体温を奪う。

男はなんとか屋敷に辿り着く。縁火はまだ燃えているか。

「綺麗だ。これが縁火か。」
ドンがランプの火をギョロりとみる。

「ご苦労、ゆっくり休め…永遠にな！」
部下たちが男に銃口を向けた瞬間、部下たちが次々発火した。　

縁火が男を守り、仇なすものを焼き尽くす。

裏切りの悪縁を清めるように3日間屋敷を焼いた。