作家さんへ。

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「ああっ!こうじゃないっ!これもだめだっ!」
薄暗い部屋に、男の声がかすかに響いている。
男は原稿用紙に何かを書いては捨て、書いては捨て、を繰り返していた。
作家のようだ。
男の放った、丸めた原稿用紙達は、ゴミ箱の縁に衝突して、ズルリと畳に落ちていった。
夜の2時。
畳に落ちていた原稿用紙達は、まるでそれぞれが意識を持っているかのように、もぞもぞと動き出した。
それらは合体し、一つの大きな塊となった。
巨大な手のような集合体となったそれは、男をつまみ上げると、ぽいっと放り投げた。
男は壁に激しく衝突し、ズルリと畳に落ちて、やがて動かなくなった。
ホラー
公開:20/10/15 22:38
更新:20/10/15 22:39

かさ( 愛媛 )

来年以降のいきかたが決まりましたヽ(=´▽`=)ノ

コメント読んだりお返事したりするのはとても好きなので、気楽にコメントいただけると嬉しいです。

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