近くて遠くて

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アナタはいつも近い存在だった。幼なじみだったアナタはいつだって、私の傍で笑みを浮かべていた。

時は今で言う戦国時代、誰もが血を流す残酷な時代。アナタは武士に、私は小さな大名の娘として、天下人の家臣に嫁いだ。

贅沢な空間でいくら過ごそうが、奥方と言われて人々に慕われようが、その心が満たされる事は全く無かった。

時代は流れ、アナタは立派な1人の将として私のいる所にやってきた。その立ち姿変わらずとも、その顔つきはもはや一軍の武将。私が願っていたアナタの姿はそこには無かった。

所がある戦の前、アナタに私は言われた。「ある将について行く。戻って来れないかもしれない」と。

頭が真っ白になりながらもその姿を見送り、私は想いをグッと押しこらえた。
アナタは私に言った通り、帰ってくる事はなかった。

この想いがもう一度だけ届くのであれば、願いが届くのであれば言いたい。
「お慕いしてました」と…
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公開:20/10/15 21:55

勇と申します。
まずは書く楽しさを取り戻したいと思ってます。
ゆっくりと考えを変えていきます。
最近は気まぐれに更新中です。

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