赤いチャイナガウンと茶色のスーツ

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駅から出ると石畳に血の筋が見えた。辿り、目をあげると、遊郭の薄暗いボロビル。中に入るとガウンを着た女が階段を駆け下りてきた。すれ違う瞬間、黒髪の間から目が合う。
階段を上ると四階の豪華な部屋では、茶色のスーツの男がちょび髭の先をみつめていた。視線を追うと黒髪の女が血を滴らせ、駅に向かっていた。少しのところで黒服に連れ戻される。手を駅に伸ばす女。
見届けた男はニッコリと笑い、私を抱え窓枠に座らせると、深くキスをした。そのまま、落ちる。2人でふわりと着地。トンと背を押された。つんのめり振り向くと誰もいない。血の跡もない。
次の週、ビルに入る女を見た。男は結構キスがうまいぞと心の中で教える。その後ガウンの女が走り出てきた。目が合うと輝かんばかりの笑顔。女は駅の中へ消えた。血の跡はない。
ビルの前へ行くと、女がどしゃりと降ってきた。見上げると男が見下ろしている。
彼女は入る部屋を間違えたのだ。
ファンタジー
公開:20/10/14 12:13
更新:20/10/14 17:23
ホラー

kashiku

ショートショートや、詩を思いつき次第のっけます。



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