嫌なツラ

「プランＢでいくべきです」
「もっと調査してからだ」
「プランＡでは欠陥が多すぎます」
「欠陥を確認してからだ」
「乗り換えるベストの機会です」
「可能な猶予を考えてからだ」
「そうですか。ではプロジェクトを辞めさせていただきます」
そう啖呵を切って俺は席を立った。
上下のユニフォームを脱いだ。下着姿の俺を女性社員はまたかという目で見ている。
「それから、これも」と言って俺は顔面を剥がして会議室を出た。
更衣室で俺は鏡を見た。顔を外してせいせいした気分だ。この顔は前回のプロジェクトだ。それも剥がした。俺はその前はどんな顔だったのか。興奮で頭が空っぽだ。
オフィスを出て駅ビルを歩いた。騒々しい音楽にまぎれて広い階段を降りる。出口に向かって大画面の映像。街の光景を映している。たくさんの人が降りている。映像のなかで一人がいらいらして降りてくる。嫌な顔のやつだと思ってよく見るとそれは俺だった。