安住の地

18
8

ある日、向かいの土地に、バランスが悪そうな逆三角形の家ができた。

しばらくして、小男と巨人の夫婦がそこへやってきた。
巨人の妻はおおらかな性格であるが、小男は口うるさく社会にストレスを抱えている様子だ。
2人は安住の地を探して、ここへ来たらしい。

それから夫は一階へ、巨人の妻は外付けの階段を上り、二階へと入った・・・
と、その瞬間、家はバランスを崩して、グルングルンと駒のように回り始めた。

驚いた妻が右往左往したのが拍車をかけたのか、家の回転は速度を増し、とうとう高速ドリルのように轟音をたてて、土を削りながら地中に消えてしまった。

その年の正月、一通のメールが届いた。
(お元気ですか?私達はあれから、地球の裏側まで来ました!
今はブラジルで元気にやってます!)

そこには三角形の家と、夫婦が陽気に踊るカーニバルの写真が貼り付けられていた。
ファンタジー
公開:20/10/13 23:44
更新:20/10/15 00:06

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容