戻ってきた犯人　（２）終

彼は、ふふっと微笑んで言った。
「そうですねえ。あなたになら言ってもいいでしょう。この事件なんですが、実は、犯人はまだ捕まっていないんですよ」
「へえ、そうだったんですね…」
「そこで、私はこう睨んだわけです。犯人は、必ず現場に戻ってくると。なので私は、こうして犯人逮捕のために、現場にいるわけです」
私は感心して言った。
「ほ〜。なるほど、それはそれは…勉強になりました。お勤めご苦労さまです。では、私はこれで…」
回れ右をして帰ろうとした私の肩を、ぐっと掴んだものがあった。
それは、先程の警察の男だった。
「ちょっとまってくださいよ。もう少しおしゃべりしませんか」
「いえ、邪魔になっては…」
「なあに、つれないなあ。現場に戻ってきた、犯人さん」