戻ってきた犯人　（１）

今日、僕の家の近所で事件があった。
こんなことは人生で初めてなので、なんだか一日中そわそわしていた。
警察らが事件現場を調べ終わって退散した後、一人の男が、その現場に来て、あたりをこそこそと物色し始めた。
あやしいと思い、見かねた私は声をかけた。
「もしもし、あなた何をやっていらっしゃるんですか」
男は少し驚いた様子でこちらを振り向いた。
私を確認した後、彼はふっと表情を和らげた。
「ああ、いえ、私こういうものでして」
男は、胸ポケットから、手帳を出して見せてきた。
彼は警察だった。
もう、捜査は終わったんじゃなかったのか。
私は不思議に思ってこう問いかけた。
「警察の皆さんは、お昼間にはもう引き上げていきましたよ。あなたはどうして今いらっしゃっているのですか？」