毘沙門天の苦労　4話　衝撃

ザッ、ザッ、ザッ、
長尾軍八千は信濃国に入った。
村上義清が支配していたのは信濃の北の方。
信濃の他の大名と争っていたのが、ここ数年でガラッと変わった。
甲斐を統一した武田晴信が、信濃に侵攻してきたからである。
諏訪頼重、小笠原長時、木曽義昌…次々と倒されていく信濃の大名たち…
残ったのは村上家だけ。
奮戦むなしく本拠地は落城…
あの雪辱を、今、はらしてやる！
義清はやる気満々だ。
景虎はというと、
寝ていた。思いっきり、籠の中で。心配要素しかない。

前の方に武田軍が見えてきた。景虎は起きた。
「なっ、あ、あれは…！」
毘沙門天は驚きを隠せなかった。
武田信玄と思われる人物には、
あの大黒天が憑りついていた。
「大黒天～！ぶっ倒してやるっ！」
毘沙門天に火が付いた。