花火のドライブ

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時期が過ぎたというのに、応援だといって全国で花火が上がる。
どこで打ち上げるかも知らせずに、きっかり20時からスタートらしい。

僕らはいつもの丘の上に車を停めた。
草が膝ほどまで伸びていて、剥き出しの膝に刺さって痒い。


微かに空を切る火の音

1拍

轟音


青色の火の粒が朝顔のように広がる。
次に金をエアブラシで吹いて遊んだような枝垂れ。
凛とした赤、弾ける橙。
夜の華は咲き乱れ始めた。

よし、今だ!

2人がかりで遠近法を意識しながらトランクに花火を詰め込んだ。
扉を閉めれば、ほら。
車内はイルミネーション顔負けの賑やかさ!

慌てて車に飛び乗る。
僕らは花火泥棒だ。
車内はまるでカラフルなスパークリングワインを吹きこぼしたようだ。
キラメキが右往左往あっちこっち。

時々車が跳ねて、轟音。

負けないぐらいの大音量の音楽をかける。
さて、ドライブを始めよう。
ファンタジー
公開:20/10/15 00:26

雨森れに( 東京 )

色合いの綺麗な物語を紡ぎたい。
シーンごと切り取られた刹那。
不思議、恋愛、ファンタジー、怪談、純猥談などをチラホラと。
中身はお酒が好きなアグレッシブ。

Twitter: https://twitter.com/rainy02forest
note: https://note.com/tettio02
Radiotalk: https://radiotalk.jp/program/61359

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